25メートルで息が上がるのは、体力不足とは限りません。吐く呼吸、脱力、ペース配分。この三点を直すだけで泳げる距離は伸びます。練習メニューの組み立て方まで解説します。
プールで25メートル泳いだだけで、壁につかまって息を切らす。隣のレーンの人は同じ速さなのに、涼しい顔で何往復もしている。ジョギングなら続くのに、水に入ると別人になる。この差はどこから来るのでしょうか。
多くの場合、原因は心肺の能力ではありません。呼吸の使い方と、余計な力みです。どちらも練習で直せる部分です。
この記事でわかること
- 泳ぐとすぐ疲れる本当の原因
- 息継ぎで直すべき一点
- 脱力して進むための感覚のつかみ方
- 距離を伸ばすためのペース配分と練習メニュー
陸上より水中で息が上がる理由
水中では、呼吸できるタイミングが限られます。走っているときのように、好きなときに吸うことはできません。そのため、吸える瞬間に十分吸えていないと、酸素が足りない状態で泳ぎ続けることになります。
さらに、沈む不安から体が固くなります。力むと水の抵抗が増え、進まないぶんを腕の力で補おうとします。息が足りない状態で、余計に力を使う。これが「すぐ疲れる」の中身です。
息継ぎは吐くほうが大事
初心者がやりがちなのは、顔を上げて慌てて吸おうとすることです。順番が逆になっています。
- 水中で、鼻や口からしっかり吐き切る
- 吐き切っていれば、顔を出した瞬間に空気が自然に入る
- 吸うことより、吐くことに意識を置く
肺に空気が残った状態で吸おうとしても、入る量は限られます。吐く量を増やすだけで息苦しさが軽くなる人は多いです。まずは壁につかまり、顔をつけて吐く練習から始めてもよいでしょう。
力を抜くと進む
沈むまいと力むほど、体は水中で扱いにくくなります。脱力の感覚は、次の順で覚えます。
1. 壁を蹴って、手を前に伸ばしたまま体をまっすぐにして進む
2. 何もしないでどこまで進むかを確かめる
3. その姿勢を保ったまま、小さくキックを足す
4. 最後に腕の動きを足す
キックは大きく蹴るより、太ももから小さく動かすほうが疲れにくいとされています。全体の力加減は、全力の六割ほどで十分です。
ペース配分を覚える
長く泳ぐことと、速く泳ぐことは別の能力です。距離を伸ばしたいなら、速さを捨てる必要があります。
- まず25メートルを、立たずにゆっくり泳ぎ切る
- 壁で少し休んで折り返す。休む時間は最初は長くてよい
- 慣れてきたら休憩を短くし、50メートル、100メートルへ伸ばす
途中で苦しくなるのは、たいてい最初の数メートルが速すぎるからです。自分では遅すぎると感じる速さから始めるのが、結果的に近道になります。
練習メニューの組み立て例
一回の練習を四つに分けると迷いません。
- 準備:ゆっくり泳いで体を慣らす
- 課題練習:片手だけで泳いで、息継ぎの形を確かめる
- 主練習:25メートルを休憩を挟みながら、無理のない距離まで重ねる
- 仕上げ:力を抜いて、ゆったり背泳ぎなどで整える
フォームは一度に全部直そうとしないほうがよいです。今日は吐く呼吸だけ、次回は脱力だけ、と一点に絞ると身につきやすくなります。
やりがちな失敗
- 息が苦しいので、さらに速く泳いで壁まで逃げ切ろうとする
- 顔を上げすぎて腰が沈み、前に進まなくなる
- 手のかきを強くして、腕だけが先に疲れる
- 疲れているのに距離だけ増やし、崩れたフォームが固まる
苦しくなったら、速さを上げるのではなく落とす。これが水泳の基本的な逆転の考え方です。
安全に続けるために
- 体調が悪い日は泳がない。水中では無理が効きません
- 一人で深い場所に入らない。監視員のいる施設を選ぶ
- 水分補給を忘れない。汗の自覚がなくても失われています
- 食後すぐや、空腹のまま長く泳ぐのは避ける
持病がある場合や、運動してよいか不安がある場合は、始める前に医師などの専門家に確認してください。
よくある質問
Q. クロールより平泳ぎのほうが楽なのはなぜですか
平泳ぎは呼吸のタイミングが取りやすく、前を向いて息を吸えます。まず平泳ぎで距離に慣れ、それからクロールに移る順番でも問題ありません。
Q. 週に何回くらい泳げばよいですか
週に一、二回でも変化は感じられるとされています。回数より、毎回テーマを一つに絞ることが効きます。
Q. 50メートル泳げるようになるまでどれくらいかかりますか
個人差が大きく、期間は言い切れません。ただ、吐く呼吸と脱力を意識して続けた人が、ある日急に距離が伸びたと感じるのはよくある話です。
まとめ
疲れる原因は体力より、吐けていない呼吸と力みです。ゆっくり、吐いて、脱力する。速さを求めないほうが、泳げる距離は伸びていきます。