天然酵母は「育てる」感覚が楽しい

スーパーのドライイーストは数時間でパンが焼けて便利です。一方、天然酵母(自家製酵母)は果物や穀物に付いた野生の菌を増やして使います。発酵に時間がかかる代わりに、酸味のある複雑な香りとしっとりした食感が出るのが魅力。何より、瓶の中で泡が立ち始める様子を毎日眺めるのが楽しいのです。

レーズン酵母の起こし方

初心者にはレーズンが一番失敗しにくい素材です。

1. 煮沸した瓶にオイルコーティングされていないレーズン50gと水150gを入れる

2. フタを軽く閉め、25℃前後の場所に置く

3. 1日1回フタを開けて空気を入れ、軽く振る

4. 3〜5日でプシュッと音がして泡が立てば成功。レーズンが浮き、アルコールっぽい甘い香りがする

泡が立った液を「中種」に育てます。強力粉と酵母液を同量混ぜて半日置き、倍にふくらめばパン生地に使えます。

焼くときの目安

  • 発酵時間はドライイーストの2〜3倍を見込む。室温が低い冬は一晩かかることも
  • 生地が乾かないよう、ボウルにラップやぬれ布巾をかける
  • 一次発酵は生地が2倍にふくらむまで。時間ではなく見た目で判断するのがコツ
  • 焼成は230℃前後で20分前後。表面がしっかり色づくまで

つまずきやすい点と対策

  • 泡が立たない→気温が低すぎる可能性。冷蔵庫の上など暖かい場所へ移す
  • 変な匂いやカビ→雑菌が入った合図。もったいなくても捨ててやり直す。瓶の煮沸消毒は手を抜かない
  • ふくらまない→酵母の力が弱い。中種を数回継いで元気にしてから使う

一度元気な酵母ができれば、小麦粉と水を足して継ぎ足すだけで何ヶ月も使い続けられます。私の瓶は最初に起こしたものを継ぎながら一年以上使っています。手間に見えますが、実際の作業時間は1日数分。あとは菌が勝手に働いてくれます。待つことを楽しめる人には、これ以上ない趣味になります。