夜中に避難が必要になったとき、玄関で迷わないための非常持ち出し袋。詰め込みすぎない重さの決め方、代わりが効かない物の優先順位、家族ごとの追加品と点検のコツをまとめました。
地震のあと、夜中に避難を促す放送が流れた。そのとき玄関で何を持つか迷い、結局手ぶらで出てしまった。そんな話は決して珍しくありません。判断に使える時間は短く、辺りは暗く、足元も不安定です。
非常持ち出し袋は、その場の判断を前もって済ませておくための道具です。大切なのは中身を増やすことではなく、背負って歩ける重さに収めること。詰め込みすぎた袋は、いざというときに置いていくことになります。
この記事でわかること
- 持ち出し袋と家の備蓄の役割の違い
- 重さの上限の決め方と、優先順位の考え方
- 家族構成に応じて足す物、外してよい物
- 中身を劣化させないための点検のしかた
こんな人に向いています
- 何を入れるべきか分からず、準備が止まっている人
- 以前作った袋を何年も開けていない人
- 小さな子どもや高齢の家族と暮らしている人
- 集合住宅で、階段を使って避難する可能性がある人
持ち出し袋と家の備蓄は役割が違う
二つを混ぜて考えると、袋は必ず重くなります。目的を分けて整理します。
- 持ち出し袋は、家を離れて移動する間を支える物
- 家の備蓄は、家に留まって過ごすための物
- 移動の見込みが短いなら、袋はさらに軽くできる
- 車を使える場合は、車内に置く分を別に考える
最初に決めるのは中身ではなく重さ
背負って階段を下り、暗い道を歩ける重さに収めるのが原則です。無理のない目安は、自分の体重の一割前後までとよく言われます。
- 実際に詰めたら、背負って家の階段を上下してみる
- 両手が空くリュックを選び、肩ひもの幅が広い物にする
- 雨を想定し、中身は袋で小分けして防水する
- 家族それぞれが自分の袋を背負えるよう分散する
重さの確認は年に一度でも十分です。持てない袋は、持ち出せない袋と同じ意味になります。
優先順位は「代わりが効かない物」から
避難先で配られる可能性がある物より、自分にしか用意できない物を先に入れます。
- 常用している薬と、処方の内容が分かる控え
- 眼鏡や補聴器の予備、入れ歯の洗浄用品
- 身分を証明できる物の写しと、少額の現金
- 携帯電話の充電手段と、家族の連絡先を書いた紙
- 明かりになる物と、手が自由になる形の照明
- 体温を保つ物、雨をしのぐ物、履き慣れた靴
電池や通信が使えない前提に立つと、紙に書いた連絡先の価値が上がります。
家族ごとに足す物
- 乳幼児がいる場合は、おむつ、普段使っている食べ物、着替え、お気に入りの小物
- 高齢の家族には、歩行の補助具や、服薬の記録
- 女性は、生理用品と着替え、人目を遮れる大判の布
- 持病がある人は、かかりつけの医療機関が分かる物
入れがちだが見直したい物
- 大量の飲料水。重さの大半を占めるため、持てる分だけにする
- 缶詰など重い食料。移動用には軽く、加熱不要の物に替える
- 使い方を知らない道具。練習していない物は現場で使えない
- 季節外れの衣類。衣替えのときに入れ替える
置き場所と点検のしかた
袋の性能は、置き場所で決まります。奥にしまい込むと、取り出す時間が足りません。
- 玄関や寝室など、手が届く場所に置く
- 寝ている間の被災を想定し、枕元に靴と明かりを置く
- 点検は季節の変わり目か、時計を調整する時期に合わせる
- 点検では、食品の期限、電池、衣類の寸法、薬の残りを見る
子どもの成長で衣類や靴の寸法は変わります。点検は中身を足す作業ではなく、合わなくなった物を外す作業だと考えると、袋が重くなりません。
よくある質問
**Q. 市販のセットを買えば済みますか
**
出発点としては役立ちます。ただし、薬や眼鏡、家族の連絡先など、本人にしか用意できない物は含まれません。買ったあとに自分用の物を足し、使わない物を外す作業は必要です。
Q. 家族の分をまとめて一つの袋にしてよいですか
一つにまとめると重くなり、別々に避難した場合に全員が困ります。背負える人はそれぞれ自分の袋を持ち、共通で使う物だけを分担する形が現実的です。
Q. 避難所に行かない場合も必要ですか
必要です。自宅で過ごす判断をしても、断水や停電で一時的に移動することはあります。また、袋の中身は在宅避難の初期にもそのまま役立ちます。
Q. 貴重品はどこまで入れますか
現物よりも、再発行の手がかりになる写しを優先する考え方が安全です。持ち出す物は防水して袋の上部に置き、暗い中でも手探りで取り出せる位置を決めておきます。
まとめ
- 中身を考える前に、背負って歩ける重さの上限を決める
- 配られる可能性がある物より、自分にしか用意できない物を先に入れる
- 点検は足す作業ではなく、合わなくなった物を外す作業として行う