REITは少額で不動産に関わる資産を持てる商品です。分配金の出どころ、株式との値動きの違い、金利との関係、銘柄を見るときの着眼点を、初めての人にもわかる順序で整理しました。
不動産に興味はあるけれど、大きな借り入れをして一室を買う勇気はない。かといって株式だけに資産を置くのも心細い。そんなときに名前が挙がるのがREITですが、「聞いたことはある」で止まっている人が多い商品でもあります。
REITは投資家から集めたお金で複数の不動産を保有し、そこから得た賃料などを分配する仕組みの商品です。上場しているものは株式と同じように市場で売買できます。少額から始められる反面、値が動く理由が株式とは違うため、仕組みを知らずに買うと想定外の下落に戸惑うことになります。
この記事でわかること
- REITがどうやって収益を生み、どこから分配金が出るのか
- 株式や現物の不動産投資との違い
- 銘柄やファンドを見るときの着眼点
- 初めての人がつまずきやすい点と、その考え方
こんな人に向いています
- 少額から不動産に関わる資産を持ってみたい
- 分配のある商品を資産の一部に入れたい
- 現物の不動産購入は負担が大きいと感じている
- 投資を始めたばかりで、商品の性格を一つずつ理解したい
収益の出どころは賃料
REITの分配金の元になるのは、保有している物件のテナントや入居者が払う賃料です。ここが株式との大きな違いです。企業の成長や新製品の成否ではなく、建物が埋まっているか、賃料を上げられるかが収益を左右します。
- 稼働率が落ちれば賃料収入が減る
- 賃料の改定で収入が増えることもある
- 物件の取得や売却で利益や損失が出ることもある
- 運用や管理には費用がかかり、その分が差し引かれる
利益の大部分を分配する仕組みが前提になっているため、利益を内部に積み上げて大きく成長させる株式とは性格が異なります。分配を重く見る商品、と捉えるとわかりやすいです。
投資対象の用途で性格が変わる
ひとくちにREITと言っても、何を保有しているかで景気への反応が違います。
- オフィス: 企業の業績や働き方の変化を受けやすい
- 住宅: 入居需要が比較的安定しているとされる
- 商業施設: 消費の動きや立地の集客力に左右される
- 物流施設: 通販の広がりなど物流需要の影響を受ける
- ホテル: 旅行需要の増減が業績に直結しやすい
- ヘルスケア: 高齢化を背景とした需要が意識される
一つの用途に絞った銘柄と、複数用途を組み合わせた銘柄があります。何が起きたときに自分の持ち分が動くのかを把握しておくと、下落したときの判断が落ち着きます。
金利との関係を知っておく
REITは借り入れを使って物件を取得するのが一般的です。そのため金利が上がると、利払いの負担が増え、収益を押し下げる方向に働きます。加えて、他の利回り商品が有利に見えるようになると、資金がそちらへ移って価格が下がりやすいとも言われます。
金利が下がる局面では、この逆が起こりやすくなります。金利の方向はREITを見るうえで欠かせない視点です。
個別銘柄と投資信託・ETFの選び分け
買い方は大きく二つあります。
- 個別のREIT銘柄を選ぶ: 用途や物件を自分で選べるが、一つに偏るリスクがある
- REITを束ねた投資信託やETFを買う: 幅広く分散できるが、運用にかかる費用が差し引かれる
最初の一歩としては分散されたものから始め、仕組みに慣れてから個別を検討する、という順序を取る人もいます。どちらが正しいというものではなく、自分で調べる時間をどれだけ取れるかによります。
見るべき指標と、その注意点
資料でよく目にするのは分配金利回り、稼働率、借入の比率、保有物件の内容などです。
- 分配金利回りが高いだけで選ばない。高いことに理由がある場合もある
- 物件の売却益が一時的に分配を押し上げていることがある
- 借入の比率が高いほど金利の影響を受けやすい
- 公表されている決算や運用報告の資料で、前提を確認する
初めての人がつまずきやすいところ
「分配金があるから元本が減らない」という誤解がもっとも多いものです。REITは市場で価格が動く商品なので、分配を受け取りながら価格が下がり、合計では目減りすることもあります。受け取った分配金と価格の変動を合わせて見る習慣をつけてください。
もう一つは、分配金の額が将来も同じだと考えてしまうことです。賃料や稼働率、物件の入れ替えによって、増えることも減ることもあります。
- 一つの銘柄に資金を集中させない
- 生活に必要なお金とは分けて投資する
- 下がった理由を調べてから動く
- 税金の扱いは口座の種類や制度によって変わるため事前に確認する
なお本記事は仕組みの説明であり、特定の商品を推奨するものではありません。実際に購入を検討する際は、目論見書などの開示資料を読み、必要に応じて金融機関の窓口や公的な相談窓口、専門家に確認してください。
よくある質問
Q. 現物の不動産投資とどちらがよいのですか
目的が違います。現物は自分で物件を選び管理する裁量がある一方、資金も手間も大きくかかります。REITは少額で分散できますが、物件の運営に関与はできません。
Q. いくらから始められますか
銘柄や商品によって異なります。上場しているものは1口単位の価格で決まり、投資信託なら少額の積立に対応している場合もあります。
Q. 分配金はいつ受け取れますか
決算の時期に応じて支払われ、年に複数回のものもあります。時期や回数は銘柄ごとに異なるため、公表資料で確認してください。
Q. 下落したらすぐ売るべきですか
理由の確認が先です。金利の動きなど市場全体の要因か、その銘柄固有の問題かで意味が変わります。判断に迷うなら、専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
- REITの収益源は賃料であり、株式とは値動きの理由が異なる
- 用途と借入の比率、金利の方向が、価格と分配に効いてくる
- 利回りの高さだけで選ばず、開示資料と専門家の助言を併せて判断する